002. でも、だって。

「もう過ぎたことだ…」

ベジータは疲れた顔で呟く。

「でも…」

あんたはそれでいいの?それで納得できるの?

「もう、いいんだ…」

壁に寄りかかり、そのままずるずると座り込んでしまった。

「だって…」

こんなことで諦めてしまうなんてアンタらしくないじゃない。

手を伸ばしそっと頬に触れる。

「…何が言いたい?」

頬に触れた手を握り返してきた。

眉間に皺がより鋭い眼光がより鋭くなる。

私はため息を一つ吐き出して。

「でもね、ブラがさっきからアンタのこと、待っているのよ?」

ベジータが恐る恐るブラの方を見た。しかしすぐに視線は中を彷徨う。

「パパぁ、遊ぼうよ〜」

ブラがベジータに走り寄る。

「!!…そ、それを置いて来い…!」

ブラの顔を一瞬見てまた直ぐに視線を外す。

「でもぉ、だって、大事なお友達なの…」

そう、ブラの手にはちょっとリアルなへびのおもちゃ。今の彼女のマイブームは”へび”らしく、リアルなものからそうでないものまで色々集めているのだ。

そして今ブラが手にしているのがよりによってリアルなタイプ。今にもにょろにょろと動きそうだ。

ベジータに走り寄ってまさにブラが触れようとした瞬間。

一瞬で黄金の輝きを纏ったベジータは間一髪のところで天井をぶち抜いて飛び去った。「で、で、でも、だって…それだけは苦手なんだぁぁぁぁ…」と叫びながら。

その目じりには涙が滲んでいたとかいないとか。




111013

ギャグですか、コレは。
子供って大人が考え付かないようなものがお気に入りになったりします。
怖いもの知らず、っていうか、「気持ち悪い」って感覚が育っていないというか、学習していないから大人が気持ち悪い、怖い、と感じるものが平気だったり。

ということでにょろにょろ系が嫌いなベジに無邪気ににょろにょろを近づける愛娘、ブラを書いてみました。きっとこの後、ブルマさんはお腹がよじれるほど笑い転げたに違いありません。


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