004. 寝 坊


時々訪れる至福のとき。

朝目覚めたときにもう一つの温もりがあったとき。

そんなときはベットから抜け出すのはもったいなくて。

いつまでもそのぬくもりに包まれていたい。

その逞しい背中にそっと寄り添う。





私が目覚めるときにまだベットに居るなんて珍しい事だけど。

昨夜のお願いをきいてくれたのかしら。

「たまには目が覚めるときにも居て欲しい」ってささやかなお願い。

いつもなら既に重力室の電源が入っていてトレーニングしている時間だものね。

もしかして寝たふり?それとも本当に寝てる?

寄り添った背中の筋肉の流れを指でそっとなぞる。

肩から肩甲骨、そして背骨にそってシッポの痕まで。

規則正しい寝息は変わらないけど、ピクリ、と筋肉が反応したような気がした。





耳元で囁く声が聞こえる。

「おはよう、ベジータ。今日は寝坊?」

背中にぴったりついたあいつのやわらかい体。

本当はとっくの昔に起きていたが昨夜の事を考えると今日はしばらく寝たフリをしておくのが得策だ。

あいつの指が背中をすべり落ちてシッポの痕で止まる。

寝たふりを決め込んでいても思わず体が反応してしまう。

危ない、危ない。

もうしばらくは寝たフリを続けようと決めた。





「本当に起きていないの?寝たふりじゃないの?」

確かに反応したように思ったんだけど、気のせいだったのかしら?

ベジータが本当に寝坊したのかしら。だとしたら珍しいんだけど。

「うふふ、寝坊でも寝たフリでもいいわ。もう少しこの時を楽しみたいから…」

もう一度体を寄せなおしてベジータにぴったりとくっつくとうとうととまどろみはじめた。





穏やかな寝息が聞こえ始めた。

俺は体の向きを変えるとあいつを自分の腕で囲いこみ、目をつぶった。

たまになら寝坊のフリをするのも悪くないな、と思いながら。



111017

ベジータは早起きだと思うし、ブルマさんはいつもお寝坊さんだとおもうんですよね。だからブルマさんが朝起きるときはベジータさんは既にベットに居ない。場合によっては朝のトレーニング終わらせて朝食とっている可能性も。

そんなベジータさんに「たまには自分が起きるときに横に居て欲しい」とおねだりするわけですよ。ブウ編後の彼ならいつもじゃなくても時々そのかわいいお願いをきいてあげているんじゃないかなぁ、と勝手に想像したわけで。

ベジータさんは寝坊、と言っても狸寝入りなのでした。

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