009. あざやかな、とてもあざやかな

暗黒のなか、その視線に、脳裏に飛び込んできたのは真っ暗な中、あまりにもあざやかな青い星。

その体に命をはぐくむ水を湛えて。

母なる惑星、地球。

初めから侵略できるような惑星=ホシ=ではなかったのだ…







ねぇ、何を考えてるのよ?と自分を覗き込む妻のその瞳は青々と水を湛える地球の色。

初めは全てが終わったらいつものように殺してやろうか、と思っていたハズだった。

だが、彼女は全てを赦し、奪おうとしていたモノ以上に俺に”何か”を与えた。






気がつけばとてもあざやかな、地球の瞳を持つ女に絡め取られていた。

そう、彼女を殺すことなんて初めから無理だったんだ。

侵略したつもりでも全てを包み込み、許し、与える。

結局俺は地球の瞳を持つ女には勝てなかった。

あざやかな、とてもあざやかな青い瞳を持つ女に。





111022

ベジ、独白。科学者で才能溢れる彼の妻にはかなわない、って所を書きたかっただけです。
そして勝てなくてもそれでよし、って感じているベジさんなのです。

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