023. 妹が生まれる

ボクに妹が出来るんだ!

そのビックニュースを聞いても。
さすがに素直に喜べる年齢じゃなくなっていたけど。

ママから妹が出来た事を聞いたときはちょっと恥ずかしかったけど、嬉しかったんだ。パパはいつもどおりの難しい顔だったけど、ちょっと赤くなっていた。そんな大きな声で言わんくてもいいだろう、とブツブツつぶやいていたけどさ。

まさかこんなに年が離れた兄妹が出来るなんて、想像もしていなかったよ、ボク。まぁ、パパとママ、いつも仲良くしているから不思議じゃないと言えば不思議じゃないんだけどさ。

ママから妹が出来た、って聞いてから少しずつ大きくなるママのお腹。なんかとても不思議で。おそるおそる触るボクに、ママは「トランクス、あんたもこうやってお腹の中で大きくなって生まれてきたのよ〜」なんてコロコロ笑っていたけど。

本当はボク、不安だったんだ。だってママ、他の人から見ればずっと若く見えるし、若いと思うけど、「高齢出産」になる、って話していたのを聞いちゃったんだ。ボクもだけど、今ママのお腹にいるボクの妹も半分サイヤ人。そのことがママにどんな影響を与えるのか。

ボクがもっと小さいときなら素直に喜んで生まれるのを楽しみにしていたんだろうけど、なまじっか色々解る年齢になってしまっているから、変に心配というか、不安になるんだよね。そういや、パパはどう思っているのかな。



「ねぇ、パパ。」

リビングでくつろいで居るパパに思い切って話しかけてみる。

「なんだ?」

いぶかしげな表情でボクを見るパパ。

「ママ、大丈夫かな…」

「あぁ?何のことだ?」

さっぱり訳がわからん、という表情のパパ。

「赤ちゃんだよ。今度産まれてくる…だってママ、今回は高齢出産じゃん…」

「あぁ……」

そのことか、とパパは目を細めボクを見た。

「オレが産むわけでは無いし、あいつが気にしていないからな。心配してもはじまらん。それよりもあいつの気がずいぶん高まってきているのが判らんか?身体機能がずいぶん上がっている。多分腹の中の子供が原因だろう。」

一気にしゃべるとパパはさっさとリビングから出て行っちゃった。でも、ママの気を探ったりして体調の変化を見ていたんだ、パパ…
言葉には出さないけど、やっぱりパパも心配なのかな。そんなボクたちの心配をよそにママのお腹は日に日に大きくなって、そのうちお腹の中の赤ちゃんがママのお腹をポコポコ蹴るのが判るようになって。
ボクが「お兄ちゃんだよ〜」って話かけるとポコッ、てママのお腹を蹴飛ばしたり。

「ねぇ、ママ。」

「なぁに、トランクス。どうしたの?」

「パパもボクみたいにお腹に話しかけたりするの?」

ボクはまだ産まれていない妹がママのお腹をポコポコ蹴って返事するのが嬉しくて時々ママのお腹に話かける。そんなボクとママの様子を離れたところからパパが見ているのは知っている。
ボクの問いかけに、ママは。うーん、と口元に手を持っていき。

声を潜めてボクに教えてくれたんだ。

「ベジータに言っちゃダメよ?」

と前置きしてから。

あのねー、暇さえあればトランクス、アンタより話しかけているわよ?私が寝ているときでも何か話しかけているみたい。どうもこの地球の言葉だけじゃなくて他の星の言葉かもしれないけど、ホント、暇さえあれば何か話しかけているわ。この子もわかるみたいでポコポコお腹蹴って返事してるのよ。

「えーっ!!ほ、本当なの、ママ?」

驚いた。何が、ってパパの行動に。ボクのときは本当に無関心だった、って大きくなってから聞いていた。ボクがママのお腹に居た頃はそんなお気楽な状況じゃなかったし、みんな殺気立っていた時期だったし。それから色々あってパパは本当はママやボクのこと、大切に思っていてくれた事、ボクはちゃんと知っている。だけど、どうしても想像できない。あのパパが?

目を白黒させて驚いているボクにママはくくっ、と笑いを押し殺しながら目にうっすら涙を浮かべ、「傑作でしょう?」って。

ママからこの話を聞いたことは内緒にしておこう。万が一、ボクが聞いたって解ったら小遣い半分どころか、重力室でどんな目にあうか…
でも、パパもボクの妹が生まれてくるの、楽しみにしているんだ。パパもママも楽しみだろうけど、ボクが一番楽しみにしているかも。だって兄妹になるんだもの。ボクが「お兄ちゃん」になるんだ。なんかとてもくすぐったい響き。





もうすぐボクはお兄ちゃんになるんだ!






111012

ブラ妊娠中。トラが妹が出来ることの戸惑い(そりゃ、色々想像するお年頃だったでしょうからw)とお兄ちゃんになることの喜び。
ついでにベジのブラにメロリンチョ状態は何時ごろからか、捏造、です。


戻る