049. 手袋とブーツ


リビングの隅にきちんと揃えて置かれている手袋とブーツ。もちろん持ち主はアイツ。当の本人はソファでうとうとしている。

手袋とブーツはそこそこくたびれていてそろそろ新しいものを準備しないといけないかも知れない。自分がオリジナルから頑張ってコピーしたこれらの防具は思った以上に出来がいいみたい。ちょっと手袋とブーツを身に着けてみる。

ベジータの手と足にフィットしているその手袋とブーツは私の手と足にはぶかぶか。身長はさほど変わらないのに、根本的に身体の創りが違うのね。そのぶかぶかのブーツで少し歩いてみる。

「あっ!そうか!」

突然のひらめき。なんでこんな単純な、初歩的なこと、気づかなかったんだろう。アイツに言われたまま、オリジナルをベースにコピーしたけど、改良点はあったんだ!

確かラボに測定に必要な機器はあったはず。こうなるとワクワクしてくるのが研究者。うたたねしているアイツをたたき起こす。不機嫌そうなのは気にしない。

「ねぇ、ちょっと起きてよ。手袋とブーツ、改良したいの。アンタの動いているときの身体データ、必要なの。」

寝ていたところを叩き起されて不機嫌そうだったアイツだけど、改良、の言葉を聴いたら文句は言わなかった。

「改良は解った…しかしどうしてお前が俺のブーツと手袋をはめているんだ?」

必要ないだろうに、と怪訝そうな顔でこちらを見ている。

「えっ?どこら辺が劣化しているのか確かめてみたのよ…」

確かになぜ身に着けたのか、自分でも分からない。苦しい言い訳かも。

「そ、そんなことよりラボに来て。必要なデータ取りたいから!」

動揺を悟られないようにくるりと踵を返すと先にラボへ向かった。そしてほんのり頬が朱に染まっているのに気が付かれないように。





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人造人間編辺りでしょうか。
ベジに色々けしかけられてベジが身に着けていた装備品のコピー、改良に奮闘していた頃でしょうか。
で、ほんのりベジブル風味です。

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