148. 妊婦と宇宙人

こんなにも変わるなんて。誰が想像したかしら。きっと本人もこんな風に変わるなんて想像もしていなかったでしょうね。

一人目のときなんて、まったく関心も示さず。

ふらりと出ていったと思ったら1週間も2週間も音沙汰なし。まぁ、今思えば平時ではなかったし、ある意味地球の、みんなの、命がかかっていて。

当然、私に対しても普段とまったく同じで、重力室が壊れたから修理しやがれ、戦闘服を作れっていつもいつも要求していたっけ。

それが今はどう?

「あっ!」

しまった。落ちる!階段で足を滑らしてしまった。手すりを掴もうにも自分の体を支えきれない。マズイ、と思ったとき。

ふわっ、と体が浮いてしっかりと抱きとめられた。

「おい。もう少し気をつけろ。」

まったくそそかしいヤツだ、といいながらまるで壊れ物を扱うかの様に、そーっと、床におろしてくれた。

「あ、ありがとう…」

ふん、と腕組みしたあなたはつい、と視線を逸らしたけど。私は知っている。いつの頃からか、気がつけば傍にいて手を差し伸べてくれる。おなかが大きくなってきてからは特に。

転びそうになっても必ず抱きとめてくれる。トランクスのときとは大違い。こんな風に変わるなんてね。でもあまりにも過保護なような気もするけど。

「ね、ベジータ。」

なんだ、と逸らしていた視線をこちらに向けた。

「愛してるわ。」

言葉と共に、ちゅっ、と口付ける。

「なっ!」

げっ、下品な、と言いながら見る見る間に真っ赤になるベジータ。こういう所は昔から変わらない、と言うか、いまさらこんな事くらいで真っ赤になるもの不思議なんだけど。愛を交わしている時はこっちが照れてしまうような事を平然としているのに。

あうあう、と赤い顔で半分固まっている夫をその場に置きざりにしてラボに向かう。

ねぇ、解っているかしら。

今、私のおなかの中ではサイヤの血と地球の血がゆっくりと混ざり合っているの。あなたとわたしの一部が深いところで混ざりあって。サイヤ人でも地球人でもない、宇宙に愛されたこの子が誕生するのはもう少し先の話。



1109202

ブルマが第二子御懐妊のときはベジがきっとそれはそれは過保護なくらいだったのではないかと。
まるで飛馬のお姉さんのようにそーっと見ている感じ?
躓いて転びそうになった日にはどこに隠れていたのかブルマさんの「きゃっ」とか「あっ!」っていう言葉が出るか出ないかのところで抱きとめていそうです。仕舞いに抱っこしてブルマさん専用の運び屋(?)に。いつもお姫様抱っこしてつれて歩いていそう…

戻る