帰ってきたのはあいつではなくて、ボロボロになった戦闘服だった。
改良に改良を重ねてきた自信作だったのよ。
最後まであいつと共にあったのに、その命を守ってはくれなかった…
とても強く、誇り高かったあいつ。
妥協を許さず、常に最高を求めて。
その要求に答えて二人で作り上げた戦闘服だったのに…
どんなに嘆いても失ったあいつはもう、戻っては来ない。
「ベジータ…」
壊れた戦闘服を抱きしめ、つぶやく。
「あんた、一緒にいて少しは幸せだった?」
血の匂いと微かにあいつの香り。
「私は幸せだったわよ…」
側にはすやすやと眠る息子、トランクス。
生き延びてみせるわ、この子と。
まだ希望は失われた訳じゃない。
孫くんの忘れ形見とベジータ、あんたの忘れ形見。
きっと彼らが何とかしてくれる。
僅かでも希望が残っている限り、決して諦めないわ。
「ね、ベジータ。」
精一杯、生きるから。あんたに笑われないように。
ブルマは真っ青な空を見上げる。
その瞳から一粒の涙がハラリ、と零れ落ちた。
110929
未来編、死にネタ。ブルマ視点。
現代編と同じく、ベジータの本質は変わらないと思っています。
どんな形であれ、ブルマを、トランクスを愛していた、と。
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