009/竜の眠り |
どのくらいの時間が経ったのだろうか。 母の元からあの人の下へ移され誕生までの時間を分かち合った。 生まれたての私はまだ弱弱しくひ弱な存在だったが彼女は私を一目見て、 「その青藍の鱗…その深淵のような瞳…まるで宝石のよう。 お前をサフィラと名づけよう!ふふふ、お前はサファイヤのようだよ。 けどサファイヤじゃあんまりだからね。女の子らしくていい名前だろう?」 私が誕生してからの日々。彼女は無我夢中で私を育ててくれた。 あちこちの試練を受け私を鍛え。なんて大きな人だろうと思っていた。 けれどいつの間にか私は彼女を背に乗せて大空を羽ばたけるほどに成長していた。 そして別れは突然に訪れた。 「ごめんサフィラ…まだ遣り残していることがたくさんあるんだ。 必ず戻るから。それまで待っていて…」 彼女はそういい残すとこの世界から消えた。 けれど存在しなくなったわけではない。 私には感じる。 彼女がもうひとつの世界で元気にすごしていることが。 飛竜と乗り手は一度絆が結ばれるとその絆が切れることはないのだ。 どちらかの命の火が消えるまで。 彼女は必ずこの世界に戻ってくる。 そう、こちらの世界で遣り残していることを果たすために… その日まで私は待つとしよう。 彼女が再び現れるその日まで、まどろんで待つことにしよう… 050526 MDQベースです。 グローエスとソルネア。二つの世界のそれぞれのパートナー。 それは飛竜と妖精。 |