018/混血
私の父と母はとても偉大であった、とその出会った彼女は語った。


父母の語る冒険の物語はとても面白くてわくわくしたけど、
あまりに現実と離れていて私の両親は冒険者ではなく、
吟遊詩人だったのでは?など思っていた。

そのくらい現実味がなかったのだ。

数々の精霊たち、高名な魔術師、勇敢な勇者たち。

父母の話にはよく出てきた名前。

真実なのか偽りなのか、聞いても返ってくるのは。

「貴女も冒険に出ればわかるわ。」

と教えてはくれなかった。


偶然出会った彼女は私が生まれる以前に私の両親と過ごしたことがあるという。
母からは精霊を操るすべを、父から剣術を学んだというのだ。
そして早くに親元を離れていた彼女に親のような愛情も。

とても懐かしそうに、嬉しそうに色々と話をしている彼女。

「…どうしたの?そんなふくれっつらして。」

話を聞いているうちに何かわからないけどもやもやした気持ちになった。

「…ズルイ…。」

「え?ズルイ?」

「そうだよ!私にはそんなこと教えてくれてないもん!」

目に一杯の涙を溜めている私に彼女は。

「まだ早いのよ、貴女には。急がなくてもソレはやってくる。
あの人たちの「血」が流れているのだから。
あせらなくてもいいのよ、そんなに。」

それにね、ほら…と彼女が指差した方には何かぼんやりした人影のようなものが浮かんでいた。

「あれは精霊よ。あなたの感情の高ぶりで現れたの。
やっぱり二人の子だわ。精霊使いとしてそろそろ勉強したほうがいいかもね。」

「あなたと私、同じハーフなのにね。こうも特性が違うのね。
私の両親は母が人間で父がエルフだった。あなたと逆。」

ふふ、と彼女は微笑むと。

「久しぶりに二人に会いたいな。ね、あなたの家に行ってもいい?」

両親の古い知人である以上反対する事はない。こっくりとうなずくと、
出会ったときに「リーフ」と名乗った彼女は私の手を取ると軽やかに歩き出したのだった。





050705
ロードス島戦記ですね。
この中に出てくる少女はディードとパーンの娘という設定。
そしてディードを真っ赤にさせた経験のある、リーフ嬢でした。