Happy New Year !
もう少しで年が明ける。



私たちパーティはささやかながら新年のお祝いをしようと、猪鹿亭でさんざん飲んで、食べて。
どんちゃん騒ぎをしたのだ。


リタも最後の方に加わって、わたしと一緒に飲んだんだけど。
なんでかなぁ。ぜんぜん平気らしい。
私は、といえば。ちょっと飲みすぎたみたい。ま、もともとお酒は強くないんだけどね。



ルーミィとシロちゃんは。
がんばって起きてようとしたけど。結局、ねてしまった。
そこで、旅館に帰ろうか、となったのである。
ノルの背中で幸せそうに寝ちゃってる。ふふっ、かわいいな〜。

クレイはほろ酔いかげんでいい感じみたい。
キットンはだいぶ酔ってるみたいで、大声で笑いながらふらふらと歩いている。
ノルは。ほどほどに楽しんでいたみたい。
ルーミィとシロちゃんは。
飲んだわけじゃないけど、時間も時間だったので、起きていられなかったみたい。

・・・・トラップはといえば。さんざん飲んでいたはずなんだけど、ぜんぜん平気みたい。
いつものように軽い足取りで目の前を歩いていく。

「あっ・・・。」
足がもつれて転びかかる。

がしっ、と腕をつかまれる。

「ったく・・・今度はもちっと考えて飲めや。」

つかまれた腕のほうを見ると。
あきれた顔のトラップが私を見ていた。

「へへっ・・・。ごめんね。」

でも美味しかったんだよね。
リタがわざわざ私に、って甘めのホップル酒を出してくれたんだよね。
で、ついつい飲みすぎてしまった。飲みすぎ、っていってもたいした量じゃないんだけどさぁ。
あ・・・だめだ。酔いのせいか、頭がクラクラしてきた。

「はぁ。なーに百面相やってんだよ。」
「なによぅ。いいーじゃない。」
「・・・・だいぶ酔ってるな、おまえ。」
「酔ってないよ〜へへっ。」
トラップがやれやれ、って感じで苦笑していた。
「ほら、皆もう行っちまったぞ。ほれ。」
そう言って手を差し出した。
「・・・なに?」
「・・・なに、って・・いいから帰るぞ!」
そう言うとトラップは私の手を取り、ズンズン歩き出した。


「ねぇ〜トラップぅ〜」
ふと、歩みが遅くなり。
「どうした?」
そう言って振り向いた彼の表情が想像以上に優しくて。
「あ・・・・えーっと・・・いいや。」
心臓がどきどきいってる。どうしたんだろう?
「ヘンな奴。」
ふっ、と笑うとまた歩き出す。

すでに静かになっている町の中をそのまま二人、手をつないでみすず旅館へと歩く。
なんかこういうのもいいな。恋人同士みたい・・・ってだれがぁ?
あああっ・・・やっぱり酔ってるんだ。そうに違いない。うん。


トラップに手をひかれながらそんな事を考えていると。

リーン、ゴーン、と鐘の音が響いてきた。

「あっ!年が明けたよ!新年おめでとう、トラップ。」
思わず笑みがこぼれる。そして、今年も皆に幸せが訪れるように心のなかで祈る。

一瞬目の前が暗くなり。頬に柔らかい感触と耳に残った言葉。
「?!・・・な、なに、今の・・・・。」
顔がかーっと熱くなる。
うそでしょお?まさか・・・。でもでも・・・。


「パステルー、おいてくぞー!」
その声に驚いてみれば。もうあんなところまで行っている。
「ちょっとぉー!待ってくれたっていいじゃない!」
そう叫んであわててトラップの後を追いかけた。


でもね、気付いちゃったんだ。月明かりのなか、トラップの顔が赤かったの。
だから今年は。きっとあなたを捕まえて見せるんだから。
今更待ったはナシだよ、トラップ。





改訂版です。
あまりにも急ピッチで書いていた為、
読み返していたらあまりにひどい部分があったので、
心理描写を増やすと共に手直ししました。