01.はじめまして
それは衝撃的な出来事。







『はじめまして』







すやすやと眠っている赤ん坊。まだ目も良く見えていない時期だ。

抱き上げてみようかと皆の目を盗み、こっそりとベビーベットに近づく。抱き方はあいつを見ていたから知っている。産まれて間もない赤ん坊はお世辞にもかわいい、とは言い難いが、あいつは額や目元が似ていると言っていた。オレには良くわからんが。

抱き上げてみようかと近づいた其の時、まだろくに目も見えていないハズの赤ん坊が目を見開きオレを見つめた。

泣くでもなくただ真っ直ぐにオレを見つめる。あいつそっくりの瞳で。恐る恐るオレは赤ん坊のぷくぷくのほっぺをつついてみた。想像以上に柔らかい。まるであいつの…ゲフン、ゴフン…いや、まぁ、なんだ。うん。

別に泣くわけでもなく、先ほど突いたオレの指をキュッ、と小さな手で握っている。赤ん坊とは思えない力強さだ。フフン、地球人との混血でもやはり血統が…ん?何か言ったか?

耳をそばだてる。と。












ぱぁぱ…












な、なにぃ?も、もはや言葉を!?い、いや解らんぞ。なんてったってオレ様の子供だ。先ほどの指を握ったときの力強さ、血統は間違いなく良い。しかもオレ様自身言葉は早かったらしいしな。ふふん、将来が楽しみだぜ…<はじめまして、ぱぱ>か… (遠い目…)

さすがはオレ様の子だ。父に対する礼儀をこの幼さで知っているとは…侮れんな。まぁ、無事生き残ることができたら鍛えてやらんこともないぞ。フッフッフ…次に会うときを楽しみにしているぜ… それまでしっかり大きくなっていやがれ。解ったな。

オレ様は息子にそう言い聞かせ己の修行に旅立つことにしたのだった。

 

 

 

 

人造人間をぶちのめしても楽しみができたぜ…

 

などと物騒な思惑など抱えて。



040405
またもベジ&トラ(赤ん坊)。
抱きしめたことはなくてもそれなりに(?)愛情はあったはず。
絶対この頃から親バカの片鱗はあっただろう、というワケで書いてみました。
そして子供の成長時間をいまいち理解していないあたりがベジらしいかなぁ、なーんて。