シロガネノツキ
あなたを身体の奥に感じて。

薄目を開けてあなたを見れば。

銀の髪がサラサラと揺れている。

まるで銀の月みたい。




















「サクラ…。」

あなたは左右違う色の瞳で私の顔を覗き込む。

その不思議な瞳にクラクラしてしまう。

その素顔を見れるのは私だけ。

その両の瞳で見つめられるのも私だけ。





「サクラ…アイシテルヨ…。」

そう言って体中にキスの雨を降らすアナタ。

幾度となく繰り返されるその行為。

最初はただくすぐったかったけど、

触れられるたびに少しずつ少しずつ気持ちが良くなってくる。

「いや…」

いい様に気持ちよくされちゃって。悔しいからちょっとだけ抵抗してみる。

「いや、じゃないでショ?それとも今日はヤメル?」

…今日はやめる?!

意地悪く仕返しされる。

…そんなぁ。これって生殺しぃ?

「センセェ…。」

思わず先生の方を見てしまった。

ニヤリと笑ってこっちを見ていた。…悔しい。結局敵わない。

「うそだよ。俺だってサクラを抱きたいからねぇ。でもなぁ…」

「でも、なによ…」

「うーん、そうだ。サクラからキス、してよ。」

…?!私からキスぅ???どうしてそうなるのぉ?

私が目を白黒させてると。

「だってほら、いっつも俺からキスしてるし。たまには、ねっv」

…言われてみれば確かに私からキスしたこと無い。

だって、いっつも先生からキスしてくるから。

私がキスして欲しいと思ったとき、何も言わなくてもキスをくれる。

なんか悔しいかも。先生ばっかり私のこと理解して。

「じゃあ、目、瞑って。」

精一杯の背伸び。

本当は自分からキスするなんて、恥ずかしいけど。

先生は言われたとおりおとなしく目を瞑っている。

そうしていると良くわかる顔の左側に縦に走る一本の刀傷。

それはすでに古傷となっていたけど。

きっとこの傷も誰かを守った証なのだろう。


「先生…」

先生の首に腕を絡めてそっと、そぉっと自分のくちびるを先生のくちびると重ねる。

いつもとは違う、掠めるようなキス。

でも私からはこれが精一杯。


「…したわよ……。」

「うんvゴチソウサマ。」

…今どんな顔しているんだろう?きっと私、真っ赤よ。

しかも先生、すっごく嬉しそう。

その顔を見たら、まぁいいか、って思っちゃった。

私からキスしても。

先生があんなに幸せそうに微笑むなら。

今度は不意打ちで先生にキスしてみようかな、と考えてる自分がいる。


…あぁ、そうか。

だから先生は何も言わなくてもキスをくれるんだ。

ふと気づいた事。


幸せになりたいね、二人一緒に。

私を幸せな気持ちにしてくれる先生。

だから私も先生を幸せな気持ちにしてあげたいの。

だから。

私からの精一杯。


「ね、先生、もっとキスして?」


そして自分からくちびるを重ねる。

先生はちょっと驚いた表情をしたけど、

すぐに満面の笑みを浮かべて、

「やっぱりサクラはカワイイネェ。」

そうつぶやくと息もつけないくらいのキスが返ってきた…



ね、先生も幸せな気持ちになった?

私はとっても幸せ。

怖いくらい。

…だから離さないでね?

不安にならないように、

其の腕で私を捕まえていてね…




2001.04.29
シロガネノツキ、表ver.
本当は裏用に書いていたもの。
書き進めると何故か表使用になっていた…?
まぁ、この程度なら表でもいいかな、ということで。

何処が裏用だったか?
始めをよーく読んでクダサイ。
それで解る人は、オ・ト・ナ。
解らん人はまだお子ちゃま。
キスで我慢しましょう。

…これの裏ver.も書きたいなぁ…
そんな時間あるのか、自分。(ナイです…)