想 い <夾>
「猫憑き」として生まれてから。

俺の人生は終わったものだと思っていた。

あいつに出会うまでは。


母は最期まで真実を受け入れてはくれず。

父には見捨てられ。

誰も信じられなくなっていたとき。

「あの人」が始めて俺を受け入れてくれて。

嬉しかった。


でも。

「あの人」にとって俺は重荷なんじゃないか。

いつも付きまとう不安。

「猫憑き」の俺のために。

受けなくてもいい中傷をたらふく受けて。


・・・・でも一人じゃ寂しくて。

「あの人」が俺の父親だったら。

どんなに良かっただろう。

それはかなわぬ願い。


それは小さなきっかけ。

「あの人」は言った。

・・・おまえの人生が本当に「終わっている代物」なのかどうか。

そして数珠がはずされ・・・


忌まわしいもう一つの姿。

その姿を「あいつ」に見られ。

もうすべてが終わったと思った。

また自分から離れていってしまう・・・

もうたくさんだ。そう思った。


だけど。

「あいつ」はこんな俺と、

一緒に過ごしたい・・・・

一緒に考えていきたい・・・

そう言ってくれた。

その言葉にどれだけ救われたか。


そして今。

師匠を父と呼ぶための努力と。

そんな俺を見ていてくれる透。

ふと横を見ると。

微笑んでる透がいる。


一緒に。

これからも一緒に。

生きてゆきたい。

今なら素直にそう思える。


ありがとう。

透。



クリスマス記念で配布していました。