その後のふたり
どこからか声が聞こえる…

違うのよあなたはちゃんとした人間よ

ホンの少しの間悪い魔法にかかってあんな姿になってしまうだけなのよ

その証拠にホラ…

すぐにちゃんと元の姿に戻るもの

大丈夫

私は少しも怖くなんてないわ

あなたは私の自慢の息子よ

可愛いから誰にも見せてあげないの

あなたの為ならお母さん死んでもいいの




「!!」目が覚めてしまった。
イヤな夢をみた。もう忘れたつもりだったのに。


ふと横を見るとあいつがすやすやと眠っている。
時計を見るとまだ夜中の二時だ。
すぐには眠れそうもなかったので、
起こさないようにそっとベットから出るとリビングへと移動する。
そしてソファに腰をおろす。


時が経つのは早いもので俺は大学4年になっていた。
由希の奴も同じでしかもはとりのところで働くべく医学部へと進んでいた。
俺たちは以前ほど劣悪な仲ではなくなっていた。
あのころに比べ、二人とも大人になった、と思う。


俺が二十歳になったときに紫呉の家からでて師匠のいる道場へ移った。
ただ、俺一人じゃなかった。
そう、あいつも一緒だった。


あの雨の日の忌まわしいけど、俺にとっては救われた事件、
それから俺とあいつは一緒にいる時間が増え、よく話した。
そして気が付くとお互いに必要な存在になっていた。
だから家を出るとき一緒にいこう、と声をかけた。
そしてあいつは少し顔を赤くして「はい…」とこたえた。
そして…


「眠れないのですか?」不意に声をかけられた。
「うん、まあな。」結局起こしてしまったようだ。
「まっててください、ホットミルクでもお作りしますね!」
そういうとパタパタと台所へといってしまった。
しばらくしてカップを二つもって戻ってきた。
「どうぞ。すこしぬるめにしてあります。」
と言ってカップを差し出した。
ありがとう、と受け取る。
ホットミルクはまるであいつのやさしさが溶け込んだようだった。
そしてそのやさしさに心の中で感謝する。
いつも一緒に居てくれてありがとう、と。



「ホットミルクも飲んだし、寝るか。」
「大丈夫ですか?」心配そうに俺の顔を覗き込む。
「もう大丈夫。腹も良くなったし、寝れるよ。」
「!!お腹が空いてらしたのですか?それは大変です!」
「……違う…もういいから寝よう。明日も早いからな。」
まったく、こいつにはかなわない。

「そうですか、でも遠慮なさらずにおっしゃってくださいね。」
「わかったよ。もう寝よう、な、透。」
「わかりました。寝ましょう。」


透と二人ならこれから起こる事もきっと乗り越えていけるだろう。
そんなことを考えながら深い眠りへと落ちていった。



ああっ!
へ、へぼい… 透くんは夾にとってかけがえのない存在だということを書きたかったのに…
まだまだ勉強不足です…読んでくださった方々ありがとうです。